わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

雅子ちゃんが着てた服

一周忌を迎えられたモデルの雅子ちゃんの「形見分けの会」が、1月30日、ご主人の大介さんによって行われました。


「透明感」ではモデルの中でもピカイチだった雅子ちゃん。
そして、たおやかで優しくて可愛らしかった雅子ちゃん。
友人たちが持ってきたお花はどれもが、雅子ちゃんのイメージにピッタリなものばかりでした。
私はフリージアを。


雅子ちゃんが着てた服、履いてた靴が並べられた真っ白な空間は、何も知らない人が見たら、ひとつのブランドの展示会と間違えるのではないかと思うほど。
一貫したスタイルのある雅子ちゃんだと知ってはいたけど、
ワードローブの実際を目にして驚きました。


雅子ちゃん、といえばすぐにさっぱりしたシャツが目に浮かぶほど、プライベートでこよなくシャツを愛していた雅子ちゃんでしたが、持ってる全部が並べられると、白、ブルーの無地、ブルーと白のストライプがほとんどで、雅子ちゃんの「清潔感」へのこだわりが、手にとるように伝わってきました。

JMウェストンの高級なローファーの他、靴はどれもがベーシックなデザインで、
きちんと手入れされてて、「靴を見れば、その人がわかる」とよく言われる言葉を思い出しながら、雅子ちゃんを感じました。


エコバッグはどれもが生成りで、洗濯しながら使いこんできた感じに、雅子ちゃんの生活ぶりがうかがわれました。


会場で一緒になったみどりちゃんと成美ちゃん。
その日着ていた白い服に、雅子ちゃんを偲ぶ気持ちが現れていました。



そして昨日、3月5日、形見分けでいただいた服を着た雅子ちゃんと親しかった人たちが集まりました。

ひとりずつ記念写真を撮りました。

雅子ちゃんの著書「雅子スタイル」にも掲載されている雅子ちゃんが生前かけていたラクロワの眼鏡をかけたお友達を目にした途端、雅子ちゃんがいるのかと思ってしまったほど、雅子ちゃんの一式がよくお似合いでした。


それぞれが、それぞれに似合う「雅子アイテム」を選んで、みなさん素敵に着られていました。




私が「形見分け」としていただいたのは
レースの襟がついた水色と白のストライプのマーガレット・ハウエルのブラウスと
ラルフ・ローレンタータンチェックのキルトスカート、
そしてセント・ジェームスのざっくりしたニットのジャケットでした。
「雅子セット」と名付けたこの3点を着用しました。

タータンチェックのタイツを合わせた遊びは「私流」。
雅子ちゃんだったらネイビーのタイツにローファーだろうなーと思いながら。

ご主人の大介さんが着ているニットと、右側の男性が着られているニットも雅子ちゃんが着てたもの。どちらもネイビーのメンズサイズ。華奢な雅子ちゃんがガバッときてる姿は、さぞかし可愛かったんだろーなーと想像します。

大介さんが巻いてるストールは雅子ちゃんが気に入って大事にしていたエルメス。雅子ちゃんは本当に水色が好きだったのね。コートはセリーヌだそう。
ストールもコートもさすが高級感のあるエレガントな水色で、雅子ちゃんの人柄そのものといった感じ。


集まったのはランチタイム、みんなで手作りの一品料理を持ち寄って、雅子ちゃんにもお供えして献杯しました。

私は「インカのめざめ」のポテトにスモークサーモンとディルをまぶしたポテトサラダを。


みんなで雅子ちゃんの思い出を語り合いながら、本当に雅子ちゃんがみんなから愛されていたことを改めて感じました。

「雅子は、本当に、人が好きだったよね」
「人の悪口を言わない人だったよね」
「自分はきちんとしてたけど、それを人にも押し付けることは、けっしてしなかったよね」
雅子ちゃんを語り合うなかででてきた言葉です。

着るものだけでなく、人と接する態度にも、自分自身を生きる上でも、最後の最後まで、一貫してあった「雅子スタイル」、



人がいなくなった後、天国には持ってゆけない、その人が愛した品々を、遺された人は、どうするのだろう・・・どうすべきなのだろう、ふとそんなことを考えることがあります。

雅子ちゃんの友人たちに声をかけて、このような素敵な機会を作られた大介さんの亡き妻への思いが、そして、妻が愛でてきたものたちを大切に思う気持ちも、深く深く伝わってきました。
「形見分けのパーティ」、本当に愛のこもった素敵なやり方。


これは私が初めて出会った頃の雅子ちゃんの写真です。
大介さんが作ったスクラップから。

いただいた「雅子の魂が宿った」トラッドなお洋服は、娘にも受け継いでずっと大事に着させていただきます。