わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

運命の時計

22歳のとき、フィフティーズの雰囲気いっぱいのインテリアが一目で気に入って、目黒の外人用マンションを借りました。
ペパーミントグリーンとクリーム色の市松模様のPタイルの床のダイニングキッチンのために買ったのがこの時計。
セイコーの、船舶用の防水時計でした。

それから30数年・・・3回引っ越したけど、キッチンの壁にはずっとこの時計を。もちろん、その間に、電池は何度も交換したけれど、昨年の暮れ、いよいよ電池を交換してもピクリとも針の動かない時計になってしまいました。

近所の時計やさんに修理に出したら、「同じモデルが今も作られているけれど、この当時の物とは部品が変わっているので修理不可能」という返事が返ってきました。
同じモデルの新品を購入しようと思って、扱っているD&DEPARTMENTに問い合わせたところ、http://www.d-department.com/shop/item_detail/5781750596594066/
「この時計の部品は手作りで、タイの工場で生産していた物なのですが、今回のタイの洪水で工場がやられ、いつ再開するかメドが立たない状況で、うちでも今後の入荷は未定としか、お返事のしようがないのです」
と言われてガックリ。

キッチンに時計がないのは不便だし、でも、これ以外の時計を選ぶ気になれない。どうしよう…と思っていたら、
おととい、新宿伊勢丹に行き、5階に目的があったのに、間違えて6階で降りてウロウロしながら、ふと横を観たら、壁にこの時計が!
「これは!」と売り場の人に聞いてみたら
「そうなんです。うちもそういう状況なので、予約を受け付けないことにしていたのですが、昨日突然、2個だけ入荷してきたのです」と。
もちろん、迷わず購入しました!
「運命でしたね」と、売り場の人に言われて
「ええ、強く願ったから、出会えたんですね、きっと!」
本当に嬉しい!

というわけで、うちには同じ時計が二つ。

右側が新品。左側は30年以上もの間、時を刻み続けてくれた時計。
私の結婚も、出産も、離婚も、引っ越しも、ずっと見続けてくれてた時計だもの。壊れても捨てるなんてことはできません。

2代目の時計さん、これからよろしく!と心でつぶやきながら、元の時計があったのと同じ場所に掛けました。