わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

夜空の BUMP OF CHICKEN

1月最後の日の夜、BUMP OF CHICKEN、3年半ぶりのツアーの最終公演に行きました。
会場に向かうゆりかもめの車窓の向こうに広がる空は、バンプに会いに行くのにピッタリな雰囲気で、気分が盛り上がるの何のって!

会場のZepp東京に着いて開場を待っている間に、半月の浮かんだ空から、粉雪がチラチラ舞い降りてきました。これまたさらに、バンプにふさわしい情景。

何年も前から大好きなバンプだったけど、生で観るのはこの日が初めて。
「天体観測」を生で聴ける日がくるなんて!そんな気分でした。

期待していた通り、というか、期待を大きく上回るバンプの魅力。
スピード感溢れる演奏の素晴らしさ、生で聴くヴォーカルの声の魅力、MCの面白さ等々、ライブ中の感想はありすぎて書ききれません。
ですが、どうしても記しておきたいことがあります。

十代の頃から始まって、この年になるまで、国内外のたくさんのバンドのライブを観てきましたが、今回のライブが終わった後に残ったものは、今まで一度も感じたことのない、不思議な感覚でした。

途中のMCでヴォーカル&ギターの藤原基央さんが言ってた言葉。
「もう半分終わっちゃったよ。あっという間だよね。でもなんであっという間なんだかわかる?君たちと僕たちの相性がいいからだよ。相性がいいと、時間はあっという間に過ぎちゃうんだよ。嫌な人といると、時間は長く感じるでしょ」
当たり前といえば当たり前の、何気ないひと言だけど、この言葉の意味はとても深い。

Zepp東京の中でライトを浴びていたのはバンプだけれど、プレイする側と観る側、そこの境界線なしの一体感の気持ち良さ。「僕は君であり、君は僕でもあるんだよ」という気持ちに自然となってくる雰囲気。
「俺らはみんなと同じ普通の人間だから」と、ステージから客席に向かって呼びかけるバンドはいる。心から応援したいという気持ちになるバンドもいる。そして、勇気や元気をくれるバンドもいる。

でも、与えてるとか、もらってるとか、そういうことではなく、曲を聴きながら自然と、唄ってプレイする人達とも、隣に立ってる知らない人とも、「繋がってる」という感覚になってくるライブ。しかも、やさしい気持ちで。


曲名と歌詞をフルに言えるほどコアなファンではないけれど、なぜ、私が世代の違うバンプにこんなに惹かれるのかということを、まのあたりに再認識したライブでした。

「天体観測」をはじめとして、プラネタリウム、ダイヤモンド、銀河鉄道、彼女と星の椅子、透明飛行船、ウェザーレポート、宇宙飛行士への手紙
等々、曲名を見るだけでも、バンプの曲の中には、空が、そして宇宙が広がっています。そして、宇宙への広がりは、自分の部屋から、僕と猫の関係から、僕の心の中から始まる。
ナイーブに自分を見つめることから広がる宇宙。
それは、宮沢賢治稲垣足穂の本を読んでいるときに感じるものと共通する世界。
時空を超えて旅する感覚。


ライブが終わり、Zepp東京を後にして目にしたビルの灯りや、ネオンやイルミネーション、それさえもが、宇宙の輝きのひとつ、と感じさせてくれたバンプのライブでした。
駅に向かう大勢の若者たちの様子が、テンションが上がってるというよりも、不思議な浮遊感に包まれてアルファ波を出してる、そんな雰囲気だったのも印象深かったです。演奏はノリノリのサウンドだったのにね。

帰りに寄ったコンビニで、春から始まるツアーのポスターを見つけて、思わずパチリ!また行きたーい!アリーナ全体を包み込むバンプのオーラに触れたい。

そして、ベッドに入って、先日買った「CUT」を再読。

「みんな、なにかに生かされていると思ってるかもしれないですけど、これに生かされてるって、なにかを発見することは、結局、その人のアンテナによることであり、その人の仕業なんですよ。だから人は感動するんだと思います。
僕らの歌じゃなくてもいいんです。誰かのマンガ、映画、他のバンドの音楽……なんでもいいですけど。それを選ぶっていうのはもう、その時点で、その人の能力で、所業なわけなんです。」
「僕がそこにいるんだったら、さらにその先に、そういうものが全部鏡になってるんだっていう意識がすごく強くて。その曲の中に飛び込んで、なにかを拾って帰ってくる。それは聴いた人の作業であって。」by藤原基央

僕は君であって、君は僕。
君が見ている僕の向こうには宇宙が広がっていて、そしてその宇宙は、君の向こうにも広がっている。
音の余韻を耳に、そんなメッセージを感じながら、眠りについた昨日の夜でした。

BUMP OF CHICKEN ♪三つ星カルテット♪PVはこちら↓