わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

デモなんて、自分とは無縁のものだと思ってた。

デモなんて、自分とは無縁のものだと、デモに参加する人達は、自分とは接点のないタイプの人達なのだと、漠然と感じながら生きてきた私でした。

そんな私が生まれて初めてデモに参加したのは、昨年4月の、チェルノブイリ事故発生から25年目の日。
東電本社ビル前でデモが行われることをツイッターで知って、考える間もなく、自然と足を運んでしまいました。
震災後、原発問題や放射能について、多くの人達が不安や恐怖心をもっていた時期だったというのに、集まっている人数のあまりの少なさに、正直驚きました。けれど、ドイツ人の男性が、人の輪の中でスピーチしていた言葉が強く心に残りました。
「ドイツでもチェルノブイリの事故の直後、デモに参加した人はたったの300人でした。それが25年経って、脱原発を成し遂げたのです。どうか、日本の人たちもあきらめないで」
その言葉を心にメモしながら、昨年は3回、デモに参加しました。

そして、6月22日。
首相官邸前で行われた「大飯原発再稼働反対」のデモに参加しました。
世界的アーティストである奈良美智さんの絵が、セブンイレブンネットプリントで買えることを知って、何枚かプリントしてプラカードを作りました。

表参道の駅で待ち合わせした友人たち。デモ初心者にとって、友と一緒は心強い。

ファッション、グルメ、恋愛、映画、芝居、音楽、インテリア等々…
正直いって、女性誌が扱うような、それらのことを話題の中心としてやってきた私たちです。今でも、それらを楽しむ気持ちはじゅうぶんあります。

でも、生活を安心して楽しむために基盤として大事なことは何か、
そのことについて考え始め、「何かがおかしい」と気づいてしまった以上、無関心ではいられないし、微力ながらも行動せずにはいられない気持ちになっています。

友人二人は、奈良さんの絵を、お揃いのバッグに貼りました。

大勢の人の列の中に、何百枚、あるいは何千枚?この絵が掲げられていました。

震災、原発事故と、日本にとって本当に大きいこのことが起こった直後、いろんな分野のアーティストたちが、無力感に陥り、「自分には何ができるか」と自己に問いかけ始めました。
この絵は、奈良さんが90年代に描かれた絵だそうです。
本当はもっと前に、この絵のメッセージにみんなが気づくべきだったのだとも思います。でも、今は、多くの人がこの絵に共感しています。

先週は1万2千人が集まったそうです。でも、今回集まったのは4万5千人。
私が行ったことを知った友人たちが、次回は一緒に参加したいと連絡をくれています。誰もが、今までは、私と同様、デモなんか自分とは無縁だと思ってやってきた人たちです。
時代は、人々の意識は確実に違う段階に入ってきてる、そのことをまわりからも実感します。

次回は、7月16日、代々木公園で行われるデモに参加する予定です。