わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

映画にため息・・・

桜の舞い散る雨の中、映画の試写に行ってきました。
『ブライト・スター  いちばん美しい恋の詩』

http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/23009/

ピアノ・レッスン』『エンジェル・アット・マイテーブル』
『ある貴婦人の肖像』でも、ため息をつかせてくれた
ジェーン・カンピオン監督の新作です。
女性監督ならではの繊細で美しい映像とデリケートな心理描写。
そして何よりも、彼女が撮る映画の魅力は衣装の美しさにあります!
この映画も2010年のアカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされています。


オープニング、布の下から上がってくる縫い針のアップから始まったので、
おお、これは期待できるぞ!と、冒頭からワクワク……


案の定!ヒロインが次々着る衣装は、どれもこれも、美しすぎるほど。
しかも彼女はお裁縫が大好きで、自分の着る服はすべてお手製なのです。
「どうせ、私は、リボンやフリルのことしか頭にない女よ!」
なんて台詞を言うシーンもあるのだけれど
何の何の、ヒロインのファニーはスウィートな世界に浸っているだけでなく
とても理知的で、打算を一切捨てて、ストイックな恋にのめり込んでゆく、
情熱的で根性ある女性でもあるのです。


布やレース、刺繍、フリル、リボン、そして、ステッチ…
女性が愛するこれらのディテールを
こんなに美しくセクシーに描ける監督といったら
J・カンピオンの右に出る者はいない!と、断言できます。

J・カンピオンは、映画を愛すると同時に
布やお洋服を、心から愛している人なのだなあ…と思います。
美しいものに目がない人たちには、絶対に観て欲しい映画でした!

ひとつひとつのシーンを思い出しては、今もため息……

初夏に、Bunkamura ル・シネマ、銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館などで公開されるそうです。