わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

映画 『祝の島』

ポレポレ東中野に、前々から、何人もの友人から勧められていた映画『祝の島』(ほうりのしま)を観に行きました。http://www.hourinoshima.com/

祝島(いわいしま)は、瀬戸内海に浮かぶ、人口500人の離島です。
50代の夫婦が「若い人」の部類に入る、そして小学生は、たったの三人(しかも、この三人は兄弟)という、ほとんどの住人が老人である島です。

けれど、この島の人たちは本当にパワフル!
海で、山で、畑で、よく働くし、よく笑うし、言いたいことを、はっきり言う。
そして、なんといっても驚くのは、(この映画が作られた2010年の時点までの)28年間もの長きにわたって、毎週土曜日に、島中の人が集まって、反原発デモを行っていること。

中部電力は、上関原発計画を、1号機、2012年6月に着工、2018年3月に営業運転開始の予定で行おうとしています。
そのことに対して、先祖代々から、海を営みの場として生き続けてきた人々が上げる声は、まさに魂の叫びとして、心に刺さります。
80歳のおばあちゃんも、大声を上げます。そして、28年前から、訴え続けてきているのです。

映画は、島の住人たちの原発反対の声と活動を取り上げながら、普段の生活を映し出します。
独り暮らしの老人たちが、毎晩、一軒の家に集まって、こたつに入って、ほんの少しの気兼ねもなく、とりとめのないお喋りをしている光景。
たった一人の新入生の入学式に、たくさんの人たちが集まって、拍手して祝ってる光景。
古代から続いている神聖な、そして、にぎやかで、笑顔がいっぱいの祭りの光景。
島の人みんなが家族のように繋がってて、それでいて、一人一人が本当に個性的で、本当の意味での、「生活を営むこと」「人と繋がること」「自然と共に生きること」「自分自身でいるということ」そして、「豊かさ」について、深く考えさせられました。

たくさんの感動をもらって映画館をでると、外は灼熱。
ポレポレ東中野の建物の壁に描かれた絵が、熱気とピッタリでした。
島の人々の素朴さに触れたあとの気分にもピッタリな絵。

この絵を眺めながら、館内のカフェに座って、ガスパチョを注文しました。

そして、一緒に観た友人と、たったいま、映画で出会った島の人々について、熱く語り合いました。「民さん、おかしかったね〜」なんて、まるで友達のことを話すように。そして、本当の意味で「自分らしく生きる」ってことにまで話題が発展したのでした。
でも、きっと「自分らしく生きるって、どういうことなんだろう」なんて考えるのは、都会人の私たちだからこそ、本当の意味での豊かさ、ってもんがわからなくなってしまったからこそなんじゃないかな。
島の人たちは、ただ黙々と、生きてくために必要なことをやって、自分達にとって必要じゃないものに対して、シンプルに、NO!と言ってるだけ。
「自分らしさ」なんてことを考えもせずに、淡々と、真摯に、生きていってるだけ。
でも、きっと、島の人には島に生まれたからの役割があって、私たちには、都会に生まれたからにはの役割があるはず。
そんなことを、語り合う、有意義な午後でした。



PS:
石巻市小渕浜を支援し続けている石原左知子さんが、「使わないで眠っているミシン」の寄付を募っています。ご協力いただけるようでしたら、よろしくお願いいたします。http://gris7noir.exblog.jp/