わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

「身軽に暮らす」ことについて考えてみた

ひところよりめっきり本を購入することがなくなったここ数年だけど、昨日はブックファーストで目にした途端、この本を迷わず衝動買いしてしまいました。

そのタイトルは「身軽に暮らす」

身軽に暮らす ~もの・家・仕事、40代からの整理術 (COMODOライフブック)

身軽に暮らす ~もの・家・仕事、40代からの整理術 (COMODOライフブック)

サブタイトル「もの・家・仕事、40代からの整理術」
整理術、断捨離の本が山ほどある昨今。整理整頓が苦手な私、少しは刺激を受け、ヒントをもらおうと何冊か買ってきましたが、どれも自分にとってピンとくるものがなかったのが正直なところ。でも、この本にはなぜ迷わず手が出てしまったのか。それはここに登場する人たちのラインナップに惹かれたから。

巻頭で登場する吉本由美さんはインテリアスタイリストの草分けだった方。マガジンハウスの雑誌をメインとするお仕事から、エッセイストに、そして、バーテンダーになられた方。私は直接の知り合いではないけれど、共通の友人は多くいて、若い頃からお噂はよく伺っていました。
とくに、秋山道男さんは吉本さんと親しく、吉本さんがバーテンダーを務める恵比寿のお店にも連れて行っていただいたことがあり、トップスタイリストからバーテンダーへの転身を興味深く思っていました。
その吉本さんが、60を過ぎて故郷の熊本に帰られたこと。インテリアが嫌で逃げ出すように出てきたご実家に今は住み、そのインテリアを活かした暮らしぶりをされていることを知って、その素敵なインテリアにも感動しました。

イラストレーターの内藤三重子さんは現在70代。実はイラストレーター志望だった私が高校生の頃からあこがれていた内藤さんのお話とインテリアにも興味津々。

料理研究家枝元なほみさんは、ホームレスを支援する雑誌「ビッグイシュー日本版」の理事であり、被災者支援の農業プロジェクト「チームむかご」を設立された方でもあり、ツイッターでは、脱原発についても精力的にツイートをなさっている様子を見ていて、その姿勢にとても興味を抱いていた方でした。

写っているインテリアの写真はだ誰をとっても「お金の匂い」が一切無く、だからといってチープでもなく、風通しが良く、コンパクトながらも、居心地のいい雰囲気。
「家」の話題がメインのインタビュー集ですが、そこに語られているのは、仕事への迷い、家族との付き合い方、経済的な問題、雑貨や小物への思い、食について等々、つまり、それぞれの生き方、人生の折々で選択してきたやり方が正直に語られているのです。

登場しているのは、私よりちょっと先輩の年代の方たち。自分の今、そしてこれからを考える上でも、本当に買ってよかった、そして、私だけじゃないんだ!な気持ちにもなる本でした。

おまけ。
昨日の朝6時にたまたま撮った写真。

2階の洗面所の横の棚。夏日のような光が射す中、キラキラ輝いていたガラクタたち。ここにある物で自発的に買ったのは、震災後のHBギャラリーのチャリティで1万円で買った和田誠さんの絵だけ。額も一応、こだわって探し回って購入した物。でも、あとは、絵を飾ったあと、テキトーに家の中から見つけ出してきた物ばかり。どこで買ったのか、誰にもらったのかさえ今はもう定かじゃない物ばかり。
スプレーの部分が壊れた霧吹きのボトルもあります。
「和田さんの絵に使われている色と同じ色だから」それだけの理由で並べただけの物。でも、このコーナーが愛おしい。

素敵な先輩たちの生き方を表す「家の写真」を眺めながら、私自身が生きてきたやり方、自然と出来上がった「私流」についても、あらためて考えてみたくなりました。若い頃には語れなかった「私流」について。