わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

スタイルを持ち、身軽に暮らす

仕事柄、芸能人や有名人の豪華な邸宅や、オシャレな人たちの素敵な住まいに伺う機会に恵まれてきました。
そんな中でもセンスの良さでいえば一番!と思ってきた、尊敬する大好きな年上の友達、石原左知子さんの暮らしのエッセイ集が6月に発売されました!

スタイルを持ち、身軽に暮らす いさぎよく、住む・着る・生きる

さちさんのことを書こうと思うと、ネタも思いもありすぎて、それこそ本一冊書けるくらいなので、本の中から私が知ってるさちさんらしいなーと感じた言葉を抜粋します。

結婚して40年の間に引越しを8回しましたが、若い頃に建てた一軒家以外はすべて賃貸。正直、飽きてしまうのです。同じところに暮らして、同じ空を見ていることに。そんなわけで住まいは、そのときどきの‟宿”でいいと思うようになりました。


今、私のところに来ているものたちは、いずれ誰かのところへ行く。考え方を変えれば、私は‟その人”から借りているだけなのかもしれない。そういう意味でいくと…。自分のものは、ない。そう思ったら、すごくラクになります。ものに執着しないと身軽になれる。

なんか違う…と思いながら、白いリビングをじーっと眺めて暮らしていたある日、もっと部屋に緑が欲しくなってきた。「森みたいにしたい!」って思った。ひらめいたらすぐに行動。さっそく友人のマキちゃん(絵描きです)に電話して、「緑の絵の具を持って、うちに来て、森を作ってくれない?」。

※これは絵が描きあがったばかりの頃に私が撮った写真です。


50になったとき、思い残すことがあるかどうかという話の中で、うちのダンナが言ったのが、「海外に住んでみたかった」というひと言。それを聞いた私は「思い残すことがあってはダメ、後悔するから行ってきたら?」それで彼はマルタ島に。
マルタ島シチリアの南にある小さな島国。彼はそこではじめて日本料理のお店をしながら10年間暮らし、私も結婚以来はじめてのひとり暮らしで、なんだかすごく新鮮。なんでもはじめてのことは一度きり。特別な一度だから楽しまければ。


3・11のときはすぐに行動に移した。はじめて石巻市・小渕浜へ行ったのは4月6日。(略)その後は何回行ったのか、数えていない。(略)ボランティアをやって、自分自身の価値観が大きく動きました。ものに執着すると、それを失ったときに心が折れやすい。逆に執着を捨てると、人は自由に強くなれるとわかった。人生勉強をさせてもらった感じです。
※この写真は、小渕浜の民宿が復興したお祝いにさちさんと一緒に行ったときのものです。


「スタイルを持ち、身軽に暮らす」、この本には、収納や部屋を飾るアイデア、ファッションについても、素敵なたくさんの具体的なヒントが詰め込まれていますが、

私がさちさんをもっとも素敵だと思うのは、そのゆるぎない人生哲学。その哲学は一言でいえば「風通しよく」。
インテリアにも、ファッションにも、人とのコミュニケーションにも、そして生き方そのものに「風通しのよさ」がまんべんなく反映されているさちさんに、至近距離で憧れ続けているのです。


この本は、お勧めの良書ですが、正直いって、個人的にひとつだけちょっと残念な点がありました。いいアングルの写真がいっぱいあるんだけど、私が知ってるさちさんは、くっきりきっぱり!な人柄。インテリアも、赤は赤、緑は緑、黒は黒と、色を鮮明に効かせています。
写真がほんわかなところが、(あくまで私個人の好みですが)ちょっぴり残念。

そんなわけで、私が遊びに行ったときに撮ったさちさんちの写真をブログの付録としてアップします。
実はインテリアに「色を効かせる」ことこそが、日本人が一番苦手なことのような気がしています。そういう意味において、さちさんち以上にセンスがいい部屋を、これまでに見たことがないといえます。

玄関。

トイレ。

トイレの飾り棚。

テーブルまわり。

リビング。


さちさんがもっとも素敵なのは、「来る者拒まず、去る者追わず」の人付き合い。
しょっちゅう人が集まり、そして集まる人たちが勝手に(笑)友達を連れて行っても、笑顔で招きいれてくれるさちさんです。
なので初めての人も常連のようにリラックスして過ごすのです。

あるときは、さちさんちでたこ焼きを作った私でした。

うーんとオシャレで、すっごくセンスがいいのに、オシャレじゃなくも受け入れてくれる、緊張感ゼロでいさせてくれる、それこそがさちさんの最大の魅力だと思っている私です。そして、インテリアは真似できないまでも(笑)「風通しのいい生き方」、そこだけは大いにあやかりたいなと。