わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

紅白、クミコ 『INORIー祈り』 衣装ができるまで

紅白歌合戦の翌日の元旦から、PCや携帯へのメール、そしてツイッターにも
たくさんの方から、衣装に関する賞賛のお言葉を頂戴しました。

ドレスに対するご質問も多数いただきました。
そこで、このドレスが出来るまでを、ざっとお伝えしたいと思います。


最初の打ち合わせは、今回、私が衣装をお願いすることにした
デザイナーの丸山敬太さんと、クミコさん、そしてマネージャーさんと私の四人で行いました。


可愛いモチーフがちりばめながらも、エレガントなケイタさんのお洋服は、個人的にも、昔から大好きでした。
深く心に沁みるこの曲のために、どんなドレスを作って下さるか、期待が大きく膨らんでいました。


「曲の内容を大切に」
これは、最初から、全員一致の基本でした。


「折り鶴をモチーフとして」
これは、この曲をレコーディングした段階から、「もしも紅白に出ることになったら」と、私が冗談半分に言っていたことでしたが、その台詞を憶えていたマネージャーさんが、「のんちゃんが言ってたあれがいいんじゃない?」と言い、ケイタさんも「それ、いいですね」ということで、即、決定。


「ヒラヒラしたものではなく、紙で作ったような、シャープなフォルムで」というのは私からの提案。凛とした印象にしたかったからです。
マーメイドのシルエットは、スレンダーなクミコさんの体型を活かす上で、私もケイタさんも、同時に浮かんだ案でした。


色は真っ白がいいか、否か、と話し合ううちに、白から桜色に変わってゆく和のイメージのグラデーションにしよう、ということになりました。


その後、いくつか出していただいたデザイン画の中から、クミコさん、マネージャーさん、私の三人が「これがいい!」と指さしたのは、同じものでした。


そして、いよいよ、トワル。
これは本ちゃんの生地ではなく、シーチングで作られている段階。

トワルの状態で、すでに美しい。
でも、ここにもっとボリューム出したほうがいいね、等々、話し合い。


大きさを試すために、紙で折られた鶴。



グラデーション効果として使う予定のスパンコール刺繍も、まだ、お試しの段階です。



さて、本番の衣装が出来上がってきました。
ふわぁ〜。。。ボディに着せた衣装を見て、全員がため息。。。。
「帝」という生地名にふさわしい、神々しいばかりの出来映えです。
最初の打ち合わせから、出来上がりまで、たった3週間、というタイトなスケジュールの中で、お願いしたイメージを、何倍もに膨らませて下さったケイタさんに、感謝いっぱい!

着た姿を、鏡でチェックするクミコさん。満足気な笑顔。

深い表情を出すために、折り鶴には、数種類の布が使われています。
一羽一羽、手染めで、うっすら色がつけられています。

鶴の位置や、背中の開きなど、どんな部分も細かくチェックするケイタさんと中村さん。真剣にチェックした結果、本番に向けて、まだ手直しする部分がありそうです。

スカートのラインを確認するため、私はいろんな角度からの絵を、写真に納めておきました。

フリルのようなスカートの部分は、裏にピンクのオーガンジーが張ってあります。



そして、本番のステージは、こんな風でした。



キラキラ光るイヤリングも、実は、折り紙のような四角でできています。
大ぶりの指輪はディオール製のスワロフスキー。
TVを観て下さった方からは、指輪の問い合わせもありました。
みなさん、細かく、ご覧になっているのですね〜。


クミコさんの魂のこもった歌声と、
ステージに並んだキャンドルの灯り、
そして、この衣装が三位一体となって
全国に、感動の三分間をもたらしたことを実感して、
至福の気持ちから始まる2011年となりました。