わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

PUREな人生。。。有田泰而さんの写真展

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写真家、有田泰而さんが亡くなられたことを知ったのは、2011年7月、
たまたまフォローしてた有田さんのご親戚の方のツイートからでした。
有田さんは知り合いではありませんでしたが、20代の頃、何度かそのお姿を拝見したことがあって、カッコいいカメラマンというよりも、
大人の色気と哀愁が、なんて素敵な男性なんだろう、そんな印象の方でした。
最後にお会いしたのは、私の親友の結婚式で。
紋付き袴がとても素敵な有田さんでした。
広告や雑誌で活躍されていたけれど、90年代に入って、パートナーであるスタイリストの小磯雅子さんとアメリカに移住され、その後の足取りは、たまにお二人の知り合いからちらちら聞いてはいましたが、詳しいところはいっさい知りませんでした。
だいたいからして、私は有田さんを素敵!と思いながらも、
どんな作品を撮られてるのか、それさえよく知らなかったのです。

そんな中、東京で開催されることになった有田さんの写真展が本当に素晴らしい!という声をあちこちから聞いたので、行ってみました。
http://www.gallery916.com/
竹芝のギャラリー916。噂には聞いていたけど、まずはこの空間に感激!


一緒に行ったよしみちゃんは、ニューヨークに20年暮らしていた人ですが、
「まるでこの景色、ブルックリンだわ!日本にもこんなギャラリーがあるのね!」と、ニューヨークを懐かしむように、しばらく外を眺めていました。

First Born、1970年代初頭、カナダ人である最初の妻と、生まれたばかりの最初のお子さんを被写体とした数々の写真は、
日常を切り取ったというよりも、妻と子とコラボして作った芸術写真という雰囲気で、
実験的なアングルから、70年代のアートシーンの空気が伝わってきました。(これは写真集から)



下記サイトに展示されている写真が掲載されています。
http://www.gallery916.com/exhibition/firstborn/

このギャラリーのオーナーでもある写真家の上田義彦さんは、
若かりし頃に、有田さんのアシスタントを一年だけ務めていらしたそうで、
今や大巨匠である上田さんは、この展示のために有田さんのネガを預かって、3ヶ月間暗室にこもってプリントしたそう。
だから、展示された写真には、有田さんのかつての妻や子への愛情だけでなく、
上田さんの有田さんへの愛とリスペクトもこめられているのです。
上田さんがなさった額装も素晴らしく、なんといっても飾られている空間の贅沢さからも、美しい空気に心が満たされてゆくようでした。

すべての作品をゆっくり眺めたあと、迷わず写真集を購入しました。

そして受付には、アメリカで出版された有田さんのアートとアメリカでの生活が紹介されてる本も置かれていました。
タイトルは「PURE」まさに、有田さんにピッタリなタイトルです。
見本として置かれていた本をめくると、想像していた規模をはるかに上回る自然との共存の雅子さんと暮らした手作りの家の素晴らしさ、
有田さんが創作されいた絵や彫刻は「自由」、まさにこの言葉が浮かんでくる圧巻のアートでした。
こちらはネットでしか購入できない本だそうですが、ネットで見ることもできます。
http://www.blurb.com/books/3424978?ce=blurb_ew


カナダ人の妻をモデルとした作品、
雅子さんと紡ぎ出したアートそのものの生活スタイル。
アーティストとして、また一人の男性として、なんて愛情に溢れた豊かな人生を送られたのだろう!有田さんの人生そのものに感動しまくりでした!

奥様の雅子さんが泰而さんとのアメリカでの生活について書かれた往復書簡の本は、出版されたばかりです。

往復書簡 カメオのピアスと桜えび

往復書簡 カメオのピアスと桜えび

展示は12月28日までです。残り僅かな日数ですが、とてもとてもお薦めです!