【スーツデモ】 デモにおけるスーツの効果について

10月30日に行われた「脱原発☆スーツデモ＠新橋」に参加しました。

原発事故以来、行ける限りの大規模デモ、昨年の６月からは行ける限りの金曜日の官邸前デモに参加してきた私です。

デモにおいての重要課題は、その訴えが通るまで継続すること、そして「すぐに」とはいかない脱原発の場合、訴えを、若い世代に受け継いでゆくことだとずっと感じてきました。
震災直後は、若い人たちの姿も大勢見受けられましたが、日が経つにつれ、その数がどんどん減り、デモ参加者のほとんどが中高年以上ということに、正直いって歯がゆい思いを抱いてきました。
そして、何故20代、30代があまり参加しないのかということについて、真剣に考えてもきました。「仕事が忙しい年代だから」そういった物理的な事情が大きいことはもちろんです。
けれど、デモの目的が、「人々の思いや考えを可視化することにある」点を考えると、可視化する以上、それなりのイメージを作ることも必要なのではないか、正直いって、私が見てきた限り、今、行われているデモには、そのブランディング力が足りないのではないか。。。。ファッションや広告に関わってきた立場から、そんなことを悶々と考えていました。
そんな思いを抱きつつ、参加したスーツデモ。
「俺たちサラリーマンも怒ってるんだ！」というキャッチフレーズがありつつも、コスプレデモ的な感じなのかな？と思ったりしていました。

金曜デモの仲間達と新橋駅で待ち合わせして向かいました。集合場所の桜田公園には、予想していた以上の人数が集まっていました。もちろん、私たちをはじめ、全員がスーツ着用。
外堀通りを通って、東電本社ビル前を通過して、桜田公園に戻る。そんなコースをデモりましたが、沿道の人々や、ビルの窓から応援の声、手を振る人たち、当然ながら、新橋にはスーツ姿の人が多く、デモ隊と歩行者の間の垣根が取り払われて、街全体に、一体感が生まれるような雰囲気でした。

私をはじめ、一緒に参加した仲間達のほとんどはフリーランスの仕事なので、普段スーツを着ることは滅多にありません。なので、たとえ仕事帰りだとしても、金曜デモの現場では、リタイヤした人か、主婦か、フリーターか、そんな見え方になっていたのではないかと思います。
でも、スーツ、またはジャケットを着用したことで、仲間同士でもその姿はオフィシャルなものに写り、「ちゃんと税金払ってるんだぞ」感になったのでした。

現場から、デモの画像をスマホでフェイスブックに投稿しました。
デモに行けば、必ずやっている私ですが、この日、興味深かったのは、ファッション関係者の「友達」で、普段は「デモ」に関して、滅多に「いいね！」をしない人たちからの「いいね！」がたくさんついたことでした。
しかも、「これ、いい！」とか、「いい雰囲気！」といったコメントを寄せてきた人の多くもファッション関係者でした。
その中でも印象的だったのは、ファッションデザイナーの人が書いてきたひと言、「力強い感じがします」でした。
「スーツデモ」の主催者は、「折り目正しく、抗議しよう」と謳っています。でもスーツデモには「折り目正しい」だけじゃなく、「力強い」イメージも加わる、そのことに改めて、なるほど、と思いました。

カジュアルなスタイルは、よほどのセンスじゃない限り「だらしない」にも見えがちです。「だらしない」が、「力強い」に繋がるわけはありません。
抗議することには「パワー」が重要です。
スーツでデモには、声を荒げなくても、拳を振り上げなくても、その「佇まい」そのものに「パワー」が宿る。そのことに思い当たりました。

私と親しいビスポークテーラーのカリスマオーナーが以前、「スーツは男にとって、服というより鎧だ」と言っていたのを思い出しました。

脱原発を支持し、政府に抗議したい気持ちを持っているけれど、現在行われている「デモ」、あの集団の中に入ることには躊躇する。むしろ、はっきりいって自分にとってはアウェイな雰囲気だし、入りたくないと感じている人が多くいることを知っていますし、実際に、そういう声を聞いてきてもいます。

「ボロは着てても心は錦」、今はそれが通用する時代ではない、ということについては本にも書いてきました。
経済の主流を支えているのがサラリーマンである日本、そしてその人口率がもっとも高い新橋。スーツで歩くデモなら、違和感なく会社帰りに参加できるし、自分も行ってみようか、そんな風に感じる若い人たちが多く出現するのではないか、そのことに期待したい気持ちになりました。
ちなみに、この日の参加者数は、600人強だったそうです。

デモ終了後、仲間達と新橋の中華やさんに行きました。
まるで会議のようにも見えるデモ後の親睦会の風景。

スーツデモ、気に入った！