わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

映画 『希望の国』 から投げられたもの、受け取ったもの

「おしゃれ」とは、まったく関係のない話題ですが、どうしても記しておきたいと思います。
21日、海外でも評価の高い園子温監督の最新作『希望の国』の試写に行ってきました。
日本の映画界がもっともタブーとする「原発」をテーマにした作品。ごくごく平凡な家族が、原発事故を機に一変してゆく物語。
2時間13分の間ずっと、息が詰まるような気持ちのまま、スクリーンに見入ってしまったのは、映画の力はもちろんのこと、そこに現実の重さが重なってしまったからでした。
※『希望の国』オフィシャルサイトはこちら→http://www.kibounokuni.jp/


感想を語ろうすれば際限なく広がってゆきそうなので、ひと言だけ。
「よくぞ、この映画を作ってくれた!」心底そう思う作品でした。
パンフの中のインタビューでも、園監督は
「製作的には、資金調達が大変でした。やはり、今の日本ではこういった映画を作ることが困難なんだなと。最終的に、海外資本の協力を得ることになりました」
と語られていますが、本当に、この映画を作ってくれた園監督、ならびにスタッフ、出演者のみなさんに、心から感謝したい気持ちになりました。
終わったあとは、しばらく言葉がでないほど重い気持ちになりましたが、
にもかかわらず、感謝の気持ちも起こってくる、
わかりにくいかもしれませんが、そういう映画でした。
ともかく私にとっては、ものすごいインパクトある作品で、日本中の人に観て欲しい!と思いました。

映画を観て、反原発の気持ちをより一層強く感じながら、試写室を出た足で金曜デモに向かいました。
6月からずっと、一緒に参加してる友人達。

毎週のように参加されてるお年寄り。頭が下がります。この方達が生きてらっしゃる間に、その思いがどうか少しでも届きますようにと、祈るような気持ちになります。

デモが終わって仲間達と一緒にいつも行く中華やに向かう途中、はぐれてしまいました。
はぐれたもう一人と「あれ?こっちだったけ?」と夜道をウロウロしていたら、信号で『希望の国』の看板をもった外国人とバッタリ。
思わず「あ、この映画、さっき観てきたところです!」と駆け寄ったら、一緒にいた女性が「彼も出演しています」と、爽やかな青年を紹介してくれました。
なんと、ミツル役をやられてた清水優さんがそこに!
メインキャストとして出られてた役者さんに直接、数時間前に味わった感動の気持ちを伝えることができる偶然が起こったことは、はぐれたことには意味があったんだなーと思える、嬉しいサプライズでした。
(金髪の不良っぽい役だったので、実物の爽やかさに、一瞬わかりませんでした。でも、役と素のギャップから、素晴らしい役者さんなのだと改めて思いました)

清水優さんとツーショットを撮らせていただきました。
私が手に持っているのは、この日、試写会でもらったパンフです。
日本中に広がれ!『希望の国』!

原発の意味や放射能について、家族や友達について、幸せや希望について、生きることについて、より真剣に考えなきゃいけない時代に、今、自分が存在していることを、誰もが意識すべきだと思います。
つらい現実ではあるけれど、目を逸らしちゃいけない、ごまかしちゃいけない。そう思うのです。
このブログのテーマにこじつければ、「おしゃれ」は、そういう土台がちゃんとあってこそ、健全に楽しめるものだと思うのです。