わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

「中年ファッション」って何だろう?

70年代に青春を過ごした人の数が人口の多くをしめている今、「中年ファッション」は、男性誌女性誌はもちろん、TVや新聞でもしょっちゅう取り上げられているテーマです。
間違いなく中年の領域にいる私にとっては、個人的にも興味のあるテーマではあるものの、「中年ファッション」という言葉を耳にすると、なんとなく違和感を感じるのも正直なところ。
なぜなら、服を買うとき、着るとき、「好き」と「似合う」にはこだわっても、「自分は中年」なんてことを意識することはまずないから。
「美魔女」って言葉も、そこを目指してるタイプも嫌い。そこにはなんだか「年齢に抗ってる無理さ」を感じるから。
そんな私、この一週間の間に、同年代(中年世代)の友人たちと会うチャンスがいくつかありました。

お花見食事会と称した集まりでしたが、例年より早い開花に、残念ながら桜は葉桜となっていましたが、なかなか華やかな席となった食事会。
元メンズBIGIの先輩後輩、桑沢デザイン研究所の同級生、先輩後輩、お互いがアシスタント時代からの戦友ともいえる親友、仕事仲間でもある男同士の親友、夫婦。どこをとっても濃い関係であると同時に、気のおけない関係同士が集まりました。
仕事帰りに来た人、家にいる格好のまま来た人、お着替えしてから来た人、色々。

ビスポークテーラーのカリスマオーナーの中寺さんのスーツ姿は、いつ会ってもビシッとした素敵さという点で「日本一!」といつも思います。
横森さんは60代。このピンクを着こなすセンスはさすが!です。しかも帯はシビラの風呂敷をリメイクしたものとか。ポップでキュートな着物姿。

身長が190㎝近くあるソリマチさんは、当然ながらサイズの合う服はなかなかないそうで、スーツはすべて中寺さんのお店「batak」でオーダーメイドしているそう。
メンズのデザイナーのトキトさんのワイルドながらも中年ならではのシックなデニムの着こなしもさすが!でした。この日、着ていたジャケットも、背中にインディアンの刺繍がしてあるブルーデニム。

私は一応、桜を意識した色のざっくりしたサマーニット、藤原さんはネルシャツをベースにした重ね着のトップスにスキニーなパンツ、二人とも超リラックスのカジュアルスタイル。

食事を終え、ほろ酔い気分で目黒川に向かう途中をパチリ。
中年が集まってる写真って、男同士でも女同士でも、とかく同世代故の「似たもの同士感」が充満しがちだけど、「それぞれの個性が伝わってくる」感じが撮れました。
「ネルシャツにスニーカー」じゃない、「ネルシャツにピンヒールのサンダル」、藤原さんのコーディネート、リスペクト!


そしてこれは、その2日前に行われた坂巻さんのお誕生日会での写真。
坂巻さん、なんと、この日で、孫がいてもおかしくない年齢の59歳に。
背中が大きく開いた水玉のラッフルドレスを堂々と、そしてラブリーに着こなす心意気に感動!パーティの主役にふさわしい華やかさ、お見事でした!
「来年は還暦。何、着ようかな」の台詞に今から期待大!

そして、こちらは、昨日、映画「アントン・コービン」上映後にトークショーを行った写真家・安珠。トークショーが終わった直後をパチリ。
二十代のときには、モデルとして一世を風靡した安珠も、今や「中年」といわれる年齢に。だけどだけどだけど、中年の匂い、一切なし。
元々、容姿に恵まれていても、中年になってから色あせ、平凡な見た目になってゆく女性もたくさんいます。そんな中で、安珠の魅力はやっぱり「自分だからこそ着こなせるもの」「着てて嬉しい気分になれる服」を、よく知ってて、そこを貫いていることだと思うのです。


この一週間、あきらかに「中年」である、同年代の、よく知ってる人たちと過ごして思ったこと。私にとっての「中年ファッション」とは

●自分の「好き」を貫くことであり、
●そのためには自分をよく知ってることであり、
●だからこそ、「自分スタイル」を自信をもって堂々とできることであり、
●若い頃よりずっと、まわりを気にせず、自由になれること。

メディアが提唱する「中年ファッション」のセオリーなんかくそ食らえ!
そんな気持ちに到達できたこの一週間でした。
お洒落を心から楽しんでる、素敵な友人達よ、ありがとう!