わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

最高に贅沢な映画 『グランド・ブダペスト・ホテル』

6月6日〜公開の、ウェス・アンダーソン監督による話題の映画『グランド・ブダペスト・ホテル
幸いなことに、私は既に試写で観せていただきました。

ヨーロッパ大陸の東端の国、ズブロフカ共和国。
その中心はルッツだが、19世紀末から第一次世界大戦までの”ベル・エポック”と呼ばれる古き良き時代には、あちこちに素晴らしい温泉リゾートがあった。
その中で上流階級の人々が集まったのがグランド・ブダペスト・ホテルだ。
著名な画家の絵画のような豪奢な建物で、椰子の庭やデカダンスなアラビア風呂は、当時の流行の最先端だった。このホテルは、戦争が始まったことで、1930年代にはファシストに占領され、占領統治の21日目に独立国家ズブロフカは消滅、その後は共産圏となった。」

この解説だけで、うずく人は大勢いると思うけど、この映画の舞台は、このような歴史を背景とした架空のホテル。


地図から消えたこのホテルについて知る手立ては、旧ズブロフカ共和国の国民的作家が遺した小説『グランド・ブダペスト・ホテル』を読むことしかないことから、映画のストーリーは、1968年にジュード・ロウが演じる作家が、すっかりさびれてしまったこのホテルに泊まり、この本の著者と出会ったことから語られるゴージャズでミステリアスな物語として始まるのです。

実際にあった歴史を下敷きとした時空を超えた壮大なストーリー。とてもここには書ききれないほど感動しまくったので、どこから書いたらいいのか困るくらいですが、
オススメのポイントとしては、とにかくインテリアとファッションがため息ものの美しさ。どのシーン、どの登場人物をとっても非の打ち所がない完璧さなのです。

そして映像の美しさ。美しいだけでなく、どこかポップでファッショナブルな新鮮な切り取り方であることは、この下の写真だけでもわかることと思います。


個人的に特筆したいのは、なんといっても、主役・ムッシュ・グスタヴ・Hを演じるレイフ・ファインズの魅力!

シンドラーのリスト』『イングリッシュ・ペイシェント』は、映画としては大好きで感動したし、主演のファインズの演技の巧さには唸ったものの、イマイチ女心はくすぐられずにいたのでした。
ところが、ところが、今回は完全にノックアウトされました!

グランド・ブダペスト・ホテルの伝説のコンシェルジェ、ムッシュ・グスタヴ・Hは、究極のおもてなしを信条とし、マダムたちの夜のお相手も完璧にこなし、多くの客が彼を目当てにホテルを訪れていた」
これが今回のファインズの役どころ。

ストイックでエレガントでセクシーで勇敢で、どこか謎めいていて、それでいてユーモラスな、男性としてゴージャズなファインズの魅力に触れるだけでも、一見の価値ありの映画です。ていうか、それだけの目的であったとしても、結局はその100倍くらいのものを受けとるとは思いますが。

予告映像、付けておきます!

私はもう一回、劇場に足を運ぼうと思っています。

http://www.youtube.com/watch?v=xlgZQpYGnow