わたしと明日のおしゃれなカンケイ

スタイリスト&エッセイストの中村のんの日々、印象に残った出来事。

大人のフリマ


あけましておめでとうございます!

2019年、早くも今年の大仕事をひとつやり終えた気持ちで、本年最初のブログを書きます。

師匠であるヤッコさんこと高橋靖子さんが年末にお引越しをされ、そこで断捨離した物をバトンタッチするためのフリーマーケットを、新年早々、1月6日と7日の二日間にわたって旧ヤッコさん邸で行いました。


昨年、喜寿を迎えたヤッコさんが、30年間住んでいたお家からお引越しされるにあたっては、秋頃から、元アシスタントたちや、ヤッコさんにお世話になってきた人たちが入れ替わり立ち代わりお手伝いに入りました。

それぞれの係りを決めての作業でしたが、私は主に写真を中心に資料整理を担当しました。

日本のスタイリストの草分け的存在。スタイリスト歴、半世紀以上。
写真屋の娘として育ち、撮ることも撮られることも大好きなヤッコさんの写真資料は、整理するにも気が遠くなるほど膨大な量でありつつ、お宝の山といった感じで、ヒーヒー言いながらではありましたが、タイムマシーンに乗っているような、ワクワクする作業でもありました。


60年代や70年代のネガのケースのデザインなんかにもつい目がいっちゃって、作業の手を休めてしまうこともしばしば。



デヴィッド・ボウイのスタイリストをやっていたことでも有名なヤッコさん。ボウイのプライベート写真も何枚も。

T・REXと一緒の写真も。右上の写真はT・REXの事務所。下の女性は彼らのマネージャーのチリタ。元モデルだったチリタとヤッコさんは仲良しだったと聞いています。
ボウイもT・REXももちろん70年代の写真です。

撮影現場でもよく撮ったり撮られたりしていたヤッコさん。
坂本龍一さんと一緒の写真は山ほどでてきましたが、その中でもこの写真は好きだな〜と思ってスマホに収めました。

17歳だった私がヤッコさんと知り合ったのは1973年。ザクザクでてくる写真の多くは、私にとっても思い出深いものが多かったけれど、知り合う以前の60年代の写真には、ことさらワクワクしました。
これはヤッコさん20代、日本のスタイリスト第1号としてスタートしたばかりの頃の仕事現場でのスナップ。クリエーターたちが長髪になる以前です。

こんな宝物もでてきたので「貴重品箱」に収めておきました。もちろん、上の写真たちもみんな「貴重品箱」行です。

原宿のセントラルアパートの一室を、一時期事務所にしていた世界的写真家・ユージン・スミスさんがお引っ越されていった直後の部屋も写真に収めていたヤッコさん。これも超貴重です。

これはユージンさんが『MINAMATA』撮影中も履かれていた長靴でしょうか。


思い出は大切にするけれど、ブランド品やラグジュアリーな物にはほとんど興味のないヤッコさん。
フリマに出品した物も、いかにもヤッコさんらしいコレクションでした。


70代になっても、カラフルなお洋服が大好きなヤッコさん。フリマにだしたお洋服もカラフルなら、新居に持ってった服たちも全部カラフルでした。


お引越し後の部屋を片付けて、物品に値付けして並べる作業もなかなか大変だったけど、可愛いものばかりなので、みんな楽しんで作業していました。


ヤッコさんにとっては「これからは必要ない物」
でも、別の人にとっては「これから必要な物」
愛用品がバトンタッチされていく様子は、楽しいだけでなく、感動的ですらありました。

ヤッコさんちにあったこの二つの花器は、

むとうさんの素敵な新居に行って、これから大事にされることでしょう。(むとうさんが撮れらた写真を借用)


みどりちゃんが買ってった籠は、昔からみどりちゃんちにあったかのように、この素敵なスペースにしっくり収まったそうです。(みどりちゃんの撮った写真を借用)


それぞれが購入した物が、それぞれの個性を物語っているのもレジ係りをしながら面白かったです。つい昨日までヤッコさんの物だった物が、別の人にバトンタッチされた途端、その人ならではの物になってく感じも。

松枝さん(男性)が買われた物。

茅野さんのお買い物。
金魚、瓢箪、くわいと、縁起物の柄を選んだそう。

写真集「70’HARAJUKU」の編集者、尾崎さんのセレクト。


新年早々、たくさんの友達の笑顔に出会えたことも嬉しかったです。ヤッコさんもとっても楽しそうでした。





壁にヤッコさんの思い出の写真を張って、プチヤッコShowの雰囲気にしました。
フリマに来てくださったみなさんが、ほーとか、へーとか言いながら楽しんで下さってました。

てんこさん手作りの美味しいケータリングのおかげで新年会のような雰囲気にもなりました。



お引越し準備、フリマ準備のお手伝いスタッフ、そしてお客さんとして来てくれた人たちと記念写真を撮りました。
最高の協力体制で、一大プロジェクトのように行われたお引越しとフリマでしたが、みんなのヤッコさん愛を感じた素敵な経験でした。



ヤッコさんの30年間の思い出が詰まったお部屋で撮る最初で最後のツーショットになりました。私にとっても何度通ったかわからない、ヤッコさんの歴史をみてきたお部屋。並んで撮られながら、感慨深いものが胸をよぎりました。


ヤッコさんがいつもくつろいでいたコーナー。冬でもポカポカと陽が入って春のような気持ちになれる場所でした。

ヤッコさんがキッチンから、いつも眺めていたお気に入りの風景。
ここに近いうちマンションが建って空き地が消えてしまうかと思うと、ちょっとおセンチな気持ちになってしまいます。



このヨーコさんのサインは、旧ヤッコさん宅から新ヤッコさん宅に運ばれ、キャビネットの上に飾られました!

ヤッコさんにとっても、みんなにとっても、夢をもてる、夢がかなう、よい年になりますことを!